令和4年1月15日に発生したフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火による潮位変化を「地震に伴い発生する通常の津波とは異なる」として津波警報の発表などに混乱が見られた。今後同じような問題が発生しないよう気象庁で検討が行われて新しいルールができた。
日本時間1月15日13時頃、トンガ諸島付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山で大規模噴火。 気象衛星ひまわりの観測映像
2022年1月15日12時~15日21時(JST)
トゥルーカラー再現画像(日中)、赤外画像(夜間)
令和4年1月15日に発生したフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火時の混乱の経緯
https://www.memex9000.com/2022/05/0115.html地震に伴い発生する通常の津波とは異なる大きな潮位の変化
令和4年4月7日 フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火による潮位変化のメカニズム等の分析結果と情報発信の運用改善について
https://www.jma.go.jp/jma/press/2204/07a/tonga_houkokusho.html(1)「津波予測技術に関する勉強会」の報告書について
令和4年1月15日に発生した、フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火による潮位変化のメカニズム等に関し、「津波予測技術に関する勉強会」(座長:佐竹健治 東京大学地震研究所教授)において分析を行い、その結果がとりまとめられました。最初に観測された気圧波は、その速度からラム波(※1)と考えられる。これに伴う潮位変化が最初に発生したと考えられる。
その後の大きな潮位変化は、ラム波等の気圧波との間の共鳴や地形等の影響による増幅など、複合的な要因により発生したと考えられるが、それらの寄与について定量的な評価は現時点では困難。
今回と同じメカニズムによる潮位変化の定量的予測は現時点では困難だが、潮位変化が始まる時刻については、ラム波の典型的な伝播速度を仮定し、最も早く到達した場合を予測するのが一つの方法。
(※1)大気と地面や海面との境界に捕捉されて伝わる大気境界波
令和4年7月27日 火山噴火等による潮位変化に関する情報のあり方とそれを踏まえた情報発信の運用改善について
https://www.jma.go.jp/jma/press/2207/27a/tonga_kentoukai_houkokusho.html(1)「火山噴火等による潮位変化に関する情報のあり方検討会」の報告書について
令和4年1月15日に発生した、フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山噴火による潮位変化を受け、その後判明した潮位変化のメカニズム等を踏まえ、「火山噴火等による潮位変化に関する情報のあり方検討会」において情報のあり方について検討を行い、その結果が取りまとめられました。概要は以下の通りです。潮位や気圧の観測結果を基に津波警報・注意報の仕組みを活用し、注意警戒を呼びかける。防災対応の中では「津波」として情報提供。
火山噴火による気圧波に起因する潮位変化に対しては、日本に潮位変化が到達するまでの猶予時間を活用して、丁寧な解説や情報提供を行う。
気圧波以外にも、山体崩壊等の火山現象により潮位変化が発生する場合があり、観測結果を基に津波警報・注意報を発表する。稀な現象であっても防災対応につなげるためには、平時の普及啓発と、現象発生時の記者会見等での丁寧な解説が重要。
(2)上記報告書を踏まえた情報発信の運用改善について
当面の対応として行ってきた「遠地地震に関する情報」や津波警報・注意報の仕組みを用いた情報発表について、検討会報告書を踏まえ、気象衛星ひまわりの解析結果も用いた情報提供や、次回情報発表目安時刻の提供
津波の発生に関係が深い観測結果が得られた際には、記者会見等での丁寧な解説・情報提供
を行う等の運用の改善を本日(7月27日)より行います
- 火山噴火等による潮位変化に関する情報のあり方とそれを踏まえた情報発信の運用改善について [PDF形式:88KB]
- 【別添1】火山噴火等による潮位変化に関する情報のあり方(報告書(概要)) [PDF形式:288KB]
- 【別添2】火山噴火等による潮位変化に関する情報のあり方(報告書) [PDF形式:379KB]
- 【別添3】火山噴火等による潮位変化に関する情報のあり方(報告書)図表集 [PDF形式:2.34MB]
- 【別添4】海外で大規模噴火が発生した際の情報発表の流れ(概要) [PDF形式:491KB]
ネイチャー誌 地球規模のトンガの大津波は、高速で移動する大気圧源によって説明される
13 June 2022
https://www.nature.com/articles/s41586-022-04926-4 - 概要
- 火山は、地震。カルデラや山麓の崩壊、火砕流、水中爆発などによって津波を発生させることがある. しかし,これらのメカニズムによって、大洋を横断する津波が発生するほどの水位変動が生じることはほとんどない。
しかし、激しい火山爆発は、大気と海洋の境界を刺激する音響重力波を発生させることにより、地球規模の津波を引き起こす可能性がある。
フンガトンガ・ハアパイ火山の大噴火とそれに伴う津波は、現代の世界的な高密度計測器によって記録された最初の火山性津波であり、津波の発生と伝播における大気と水の結合過程の役割を調べるユニークな機会を提供するものである。ここでは、世界中の海面、大気、衛星データ、数値モデル、解析モデルを用いて、この津波が、噴火から放射された音響重力波が海を励起し、共振によってエネルギーを伝達する、絶えず移動する音源によって引き起こされたことを証明する。
津波と音響重力波の到達時間には直接的な相関があり、これらの現象が密接に関連していることが確認された。また、津波が異常に速い伝播時間と長い継続時間、そして全地球に及ぶことは、気水連成の津波源と整合的であることを我々のモデルが示している。この結合メカニズムは、深い深海から急に立ち上がる陸地に沿って高い波が発生するため、明確な危険性を持っている。
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