テレトピア構想・ニューメディア・キャプテンシステム 昔の未来

2022/08/03

レトロフューチャー 昔の未来 放送・通信

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昭和の響き テレトピア構想  (tele-topia)

ニューメディアの導入による地域社会の高度情報社会への移行を目的として、昭和58年(1983年)8月に郵政省が提唱した総合的な施策である。

モデル地域を指定し、日本開発銀行などによる無利子融資や低利子融資によって、日本版ビデオテックスであるキャプテンシステムや、オフトーク通信、CATV、地域VANなどを導入する施策が中心であった。このうち、キャプテン事業は、テレビ画面を電話線につないで静止画などを通信するもので、インターネットサイトの先駆けではあったが、ほとんど普及しないままに終わった。各地で設立された第三セクターによるビデオテックス推進法人も、その後解散するか、あるいは別の業態へと移行した。コンピュータや情報機器に関連する産業を所掌する旧通産省も、同時期に「テレトピア構想」によく似た「ニューメディア・コミュニティ構想」を推進した。これもモデル地域を指定して、当時のニューメディアを導入するものであった。農水省は農村の地域情報化に重点を置く「グリーントピア構想」を、建設省は都市部での地域情報化に重点を置く「インテリジェント・コミュニティ構想」を推進した。
また、80年代末にNHKが中心に普及させようとしていたアナログハイビジョンを主たるメディアとした地域情報化政策についても、旧郵政省が「ハイビジョン・シティ構想」、旧通産省が「ハイビジョン・コミュニティ構想」、旧自治省が「ハイビジョン・ミュージュアム構想」という形で、三つの省庁が競って実施したが、ハイビジョンのデジタル化が国際的な趨勢となり、導入されたアナログハイビジョン施設は、数年で廃棄されるか、利用されなくなったものが大半である。 90年代以降は、旧郵政省・現総務省による、情報基盤整備のための施策が中心となり、地域イントラネット整備事業や、新世代地域ケーブルテレビ整備事業などは、数多くの自治体がその補助金を活用した。

テレトピア促進協議会

テレトピア指定地域の地方公共団体で構成され、会員相互の有機的な連携を図り、もって各地域のテレトピア構想の実現に寄与することを目的とする任意団体。
S60年に設立  残余財産を(一財)全国地域情報化推進協会に寄附し、H18年 秋に解散した。

旧郵政省・現総務省による旧通信白書・現情報通信白書


昭和60年版 通信白書 テレトピア計画の推進とモデル都市の指定
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/s60/html/s60a01030100.html

昭和62年版 通信白書 テレトピア指定地域の現状
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/s62/html/s62a03020100.html

平成元年版 通信白書 テレトピア指定地域における地域情報圏の形成https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h01/html/h01a02020102.html

平成4年版 通信白書 テレトピア指定地域の追加
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h04/html/h04a02010104.html

平成6年版 通信白書 テレトピア構想の推進https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h06/html/h06a02010202.html

平成7年版 通信白書 テレトピア構想の推進
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h07/html/h07a02020303.html

平成8年版 通信白書 テレトピア構想の推進
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h08/html/h08a02020301.html

平成9年版 通信白書 テレトピア構想の推進
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h09/html/h09a02020207.html

通信白書では平成二ケタ台くらいから話題に上らなくなった。代わりにパソコン通信・インターネットのトピックが増え、ICTの利活用などが最近は増えてきた。

国会図書館の検索にて「テレトピア構想」関連書籍を検索した結果、話題に上っていた時期が推測できる。

1983 (5件)
1984 (26件)
1985 (21件)

1986 (11件)
1987 (3件)
1988 (1件)
1989 (6件)
1990 (1件)
1991 (11件)
1992 (5件)
1993 (4件)
1994 (3件)
1995 (3件)
1996 (1件)
1998 (2件)
1999 (1件)
2001 (1件)
2003 (1件)
2004 (1件)
2005 (1件)
2006 (1件)
2009 (1件)
2010 (1件)
2012 (1件)
2014 (1件)
2017 (1件)


キャプテンシステム(CAPTAIN System、Character And Pattern Telephone Access Information Network System)
Logo of the Captain System.
日本電信電話公社のビデオテックス通信サービス「キャプテンシステム」のロゴマーク
Yoh-Plus, Public domain, via Wikimedia Commons

1970年代後期から将来に向けて計画され、1984年11月30日から日本電信電話公社→NTT→NTT分割後はNTTコミュニケーションズが、電気通信役務として提供していたビデオテックスサービス。当初は将来性を期待されていたものの、インターネットの普及に伴い縮小を余儀なくされ、2002年3月31日にサービスを終了した。サービス的には類似したフランスのビデオテックスサービスであるミニテルも、2012年に終了している。


キャプテンは、ヨーロッパのビデオテックスシステムと異なり、英数字の伝送をベースにしていない。日本の漢字は3,500文字以上あり、1970年代後半、これだけの文字を保持し、必要に応じて生成できるような文字生成器をユーザーの端末に搭載することは不可能と考えられていた。そのため、ファクシミリに似た符号化方式で、ページをプリレンダリングした画像としてエンドユーザーに送ることが主流となった。
1985年12月までに650の情報提供者が集まり、翌年には245都市に展開された。しかし、1992年3月時点では、まだ12万人しか加入していない。世界の他のビデオテックスシステムと同様、大衆的な利用には至らなかった。
Captain (videotex) - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Captain_(videotex)

NTT CAPTAIN videotex service page |Source=Own work |Date=1983 |Author= Bernard Marti
NTTキャプテン・ビデオテックス・サービスページ|1983
Bernard MARTICC BY-SA 2.0 FR, via Wikimedia Commons

昭和57年版 通信白書 画像通信 より
近く実用化が予定されるキャプテンシステムや文字放送等の新しいメディアと端末装置の共用化が図られるなど,各メディアと調和のとれた通信メディアとして一層の発展が期待される。

ビデオテックス

 ビデオテックスは、テレビ受信機とコンピュータ・センタを公衆電話網により接続し、会話形式で画像情報を提供する新しい通信メディアである。

 テレビ受信機と公衆電話網という広く普及した既存設備を有効に利用し、双方向機能を活用してセンタに蓄えられた情報を検索するだけでなく、銀行、デパート、旅行業者等広い分野の外部情報センタを活用したテレショッピング、ホームバンキング等の幅広いサービスが安価に提供できることから、我が国をはじめ英国、フランス、西独、カナダ、米国等20以上の国々で実験あるいは実用化が活発に進められている。

我が国の動き

 我が国においては,郵政省及び電電公社が共同し,情報提供者,メーカ等の協力を得てキャプテンシステム(CAPTAIN:Character And Pattern Telephone Access Information Network System)の名称で昭和54年12月から56年3月まで東京23区内の1,000のモニタを対象に第<1>期実験サービスを行った。

昭和56年8月からは第II期実験サービスとして、モニタ数2,000、蓄積画面数約20万とそれぞれ第I期実験の2倍に増やしたほか、情報入力機能及び情報検索機能の充実、表示機能等の向上を図った。また、特定の利用者端末グル一プに、特定の情報提供を可能とするクロ-ズド・ユーザ・グループ・サービス、利用者端末から商品の注文、予約ができるオーダ・エントリ・サービス、望みの画面の写しをとれる簡易型ハード・コビー装置を開発するなどサ一ビス機能を拡充した。

諸外国の動き

 諸外国におけるビデオテックスの研究開発は、近年大きく進展し、欧米諸国のみならずアジア、オセアニア等の国々おいても関心が持たれ、商用ないし実験の段階にある。

 世界に先駆けてビデオテックスの開発に乗り出した英国では、プレステルという商品名で1979年9月から商用サービスが開始され、加入者は約1万8,000に達しているが、現在のところビジネス利用が中心で当初の計画数を下回っているため、英国電気通信公社(BT)は情報提供者やメーカ等に呼び掛けるなど、マーケティング活動を積極的に行っている。

 フランスのビデオテックスは、テレテル及び電子電話帳の二つの計画があり、電気通信とコンピュータの組合せにより社会の大規模な情報化を図るテレマティーク計画の柱の一つとなっている。テレテルは、パリ郊外のベリジー地区において2,500世帯を対象として情報検索のほか、列車の座席予約、買物注文等もできる実験が1981年7月から18カ月の予定で開始されている。また、電子電話帳は、電話加入者に小型端末機を設置し電話番号案内を行うものであり、1982年6月からイル・エ・ビレヌ県で商用サービスが開始されている。

 西独では、1980年6月から西ベルリン、デュッセルドルフの2都市において、ビルトシルムテキストの名称で約7,000の端末を対象に実験サービスが行われている。このシステムの特色は、中央センタ以外に銀行、通信販売業者、旅行代理店等、多数の外部センタ(1981年末現在38センタ)が接続されていることである。このシステムでは、現在、ホームバンキング、注文、予約等のサービスが提供されており、1983年から商用化される計画である。

 カナダでは,通信省(DOC)がテリドンという名称でシステムの開発を行い、現在各州の電話会社等を中心に各地で実験サービスが行われている。テリドンの特色は、公衆電話網だけでなく、同軸ケーブル、光ファイバ等いろいろな広帯域伝送路を用いて、情報検索、買物注文、ホームバンキング等の多彩なサービスを提供していることである。

 米国におけるビデオテックスの研究開発は、英国、フランス、カナダ等に比べ遅れていたが、近年、放送会社、新聞社、出版社をはじめCATV事業者、広告朶者、銀行等の多くの企業がビデオテックスを捉供すべく市場調査や実験サービスを始めるなど、競争が激化してきている。また、AT&Tは、既に基礎実験を終え本格的なサービス提供に向けて準備を進めてきたが、1982年8月の新同意審決において、AT&Tが自社の伝送施設を用いて、ニュース、生活情報等の収集、編集、配布等を行ういわゆるエレクトロニ・ノク・パブリッシングは、今後少なくとも7年間禁じられることとなった。

今後の取組

 キャプテンシステムについては、郵政省及び電電公社が情報提供者、メーカ等の協力を得て実験を推進するとともに,実用化に向けて検討を進めてきたところである。このシステムの実用化に対する国民の期待には大きなものがあり「キャプテンシステム実用化懇談会」からも、早期実用化の提言がなされている。このシステムが実用化された場合,社会経済活動の効率化及び国民生活の向上等,情報化社会の発展に大きく貢献することが予想される。また,今後更に激化する情報通信分野での国際競争に対処するためには、この種の新しいメディアの開発、実用化に早期かつ積極的に取り組む必要がある。

 このような状況にかんがみ、郵政省及び電電公社は、昭和59年11月を目途としてこめシステムを実用化することとし、諸準備を進めている。このシステムの円滑な実用化を図るためには、システム提供者、情報提供者、端末機提供者等の関係者が総力を結集して、サービス開始当初から価値の高い情報と低廉な端末機器の提供を実現することが必須である。郵政省としては、利用者が利用しやすい環境整備の検討、関係者の調整等を行い、このシステムの円滑な実用化を期すこととしている。
昭和57年版 通信白書 画像通信
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/s57/html/s57a01020204.html



昭和60年版 通信白書 発展する画像通信 より

ビデオテックス

 ビデオテックスは、企業や家庭にあるテレビジョン受像機等と、情報センタを電話回線で接続して,情報センタに蓄積された情報をテレビジョン受像機等に映し出すものである。文字・図形等の情報の検索は、利用者と情報センタとの会話形式により行え、利用者の個別ニーズにこたえることができるものであり、利用者主導で情報を得ることができる新しい通信メディアである。

 (サービス地域の拡大が進むキャプテンシステム)

 我が国においては、キャプテンシステムの名称により、59年11月から東京地区及び京阪神地区で商用サービスが実施されている。

 サービスの提供地域については、順次拡大が進められ、60年3月に名古屋地区、5月に新潟市、金沢市、熊本市、大分・別府地区、また、10月には札幌・小樽地区へと拡大されている。さらに、今後は、62年度末までには全国主要都市へと拡大される予定である。

 (増加するキャプテン端末)

キャプテンの端末数の推移は、サービス提供地域の拡大に従い着実に伸びてきている。

 現在のところ、キャプテン端末は事業所を中心に普及しており、家庭への普及はいまだ十分なものとなっていない。今後,端末機器の低廉化、操作性の向上、情報内容の充実、あるいは他のビデオテックスシステムとの相互接続の実現等により、利用範囲が拡大すれば、家庭においてもキャプテン端末が普及していくものと期待される。

 (多種多様な情報分野)

 情報提供者は、昭和60年6月末現在、501社で、サービス開始時(310社)に比べ大幅な増加を示している。情報提供者は、全国に広がりをみせており、その業種も多岐にわたっている。

 また、蓄積画面数も、60年6月末現在、約13万画面となり、サービス開始時(約7万5千画面)に比べ,約2倍となっている。情報センタに蓄積され、利用者が検索できる情報で、60年6月1か月間の総アクセスは980万画面であり、アクセスの多いものは「娯楽・趣味」、「公共広報」、「専門情報」の順となっている。
昭和60年版 通信白書 発展する画像通信https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/s60/html/s60a02010200.html

ニューメディア

科学技術の発展に伴い、従来のテレビ・ラジオ、新聞・雑誌、電信・電話などの既存媒体(マスメディア)にとらわれない新たな媒体として、1980年代初頭に主として当時の電電公社により普及が推進された新媒体のことをいう。
INSを中心とした高速度ネットワークを中心に、各企業・家庭に設置された新型端末を介して情報を得たり、発信したりということがコンセプトとなっていた。
国営企業による1社独占の運営はコンテンツ不足などにより失敗したが、双方向メディアの思想自体は先見の明があり、後に民間企業主体で推進されたマルチメディアやインターネットなどの先駆けであったといってもよい。


「ゲームセンターあらし」などで有名な、すがやみつる先生の80年代ニューメディア解説マンガを無料で読むことができる。

【全巻無料】こんにちは ニューメディア コミック版 - すがや みつる  - マンガ図書館Z 

https://www.mangaz.com/book/detail/67691

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自営無線通信のエンジニアをしていました。現在はコンピュータ系。理科っぽいものが好きなので、電子工作、BCL、アマチュア無線、RCカー、カブトムシ、金魚、熱帯魚、自作コンピュータ、カメラ、ドローンなど一通り通過しております。 現在は、飛ぶものと昔のものに興味があります。

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