通信衛星(Communication Satellite)の活用と歴史

通信衛星というアイデア

マイクロ波帯の電波を用いた無線通信を目的として、宇宙空間に打ち上げられた人工衛星である。赤道上空　約36,000kmの静止軌道上にある通信衛星や低軌道周回衛星を使って通信を中継する。
概念は1928年にヘルマン・ポトチュニクによって考案され、1945年、SF作家のアーサー・C・クラークがイギリスの雑誌『Wireless World』に「Extra-terrestrial Relays」と題する技術論文記事を発表した。この記事でクラークが「静止軌道」という当時としては斬新な概念を発表している。

この記事でクラークは、宇宙空間に無線機があれば、地球からその無線機に信号を送ることができ、その信号は無線機で「跳ね返り（中継し）」、「地平線の彼方」に再送信されると提案している。また、一旦「無線機」が打ち上げられると、軌道に乗るので、一定の推進力を必要とせずに維持できると述べている。「それは人工衛星となり、動力を使うことなく永遠に世界を周回することになる」と無線信号を中継するために人工衛星を静止軌道に配備する方法の基本原理を説明した。赤道面軌道上の3つの衛星が高度36,000km、120度間隔で周回し、地球規模の通信を提供できると指摘した。衛星は地球の表面と同じ角速度で回転し、したがってその表面上の特定の点の上にとどまる、つまり静止しているように見えるため、この特定の高度が非常に重要になる。と無線信号を中継するために人工衛星を静止軌道に配備する方法の基本原理を説明した。この記事は現代の衛星通信の起源と見なされており、静止地球軌道はクラークの軌道と呼ばれることもある。一般にアーサー・C・クラークが通信衛星の発明者として認知されている。

日本で利用されている通信衛星

日本で利用されている通信衛星は、CS放送に用いられている衛星を除けば、インマルサット、Nスター、イリジウムなどがある。

インマルサット（Inmarsat）4機
海上において安定的な通信を行うため利用され始めたが現在は上空（航空機との通信）や携帯電話の不感地帯での利用などその利用を拡大している。